近代的な地下駅計画は幻に?シュツットガルト中央駅再開発計画の今

2010年に事業が開始された、「シュトゥットガルト中央駅」再開発事業。今月で開始からまる10年が経ちます。なぜこんなにも時間がかかっているのでしょうか。ドイツ公営放送の1つのSWR(南西放送)が詳報しています。

計画は進むが

工事担当者によれば、「計画と工事自体は進んでいる」。しかし、総工費は計画当初の見積もりの2倍の80億ユーロに膨らんでいます。

なぜここまで計画は伸びてしまい、総工費は膨れ上がっているのでしょう。

この再開発計画「Stuttgart21」は、現在、鉄道の終着駅となっているシュトゥットガルト中央駅の地下化が主眼でした。地上で頭端式ホームを有する当駅は、どちらかというと終着駅というよりも、ドイツ南部やミュンヘン方面に向かう長距離列車の1停車駅の性格が強く、ドイツ鉄道(DB)としても、当駅でスイッチバックをして進行方向を変えるよりも駅を地下化し、通過式への転換を協力に支持していました。

ただし、工事に対する環境問題、地下化による地下水汚染問題、また通過式に伴い観光客が当駅を通過し他の街を目指してしまうことなどへの不安から反対運動が激化します。工事開始当初は再開発反対デモの影響で全く着手できなかったことも多々ありました。

計画当初に提出された代替案

Stuttgart21にたいしKopfbahnhof21(通称K21)と呼ばれる代替案も存在しました。これは現状の頭端式ホームを有する駅舎を維持して、地上連絡線路を増やし、ドイツ南部、南東部へのアクセスを便利にするというものです。

しかし、長距離列車の高速化に対し抜本的な現状変更を望むDBには響かず、現実化はしませんでした。

開業予定は?

反対派は、事業費の増額はまだ続くのではないか、効率よく工事が進んでいない、防火対策が万全ではない と主張。今でこそ大規模なデモは起こっていませんが、対立の火種は依然燻っています。

Stuttgartを擁するBaden-Wurtenburg州ではドイツ政界で初めて緑の党の出身者が州首相に選出されました。環境問題に対しては大きくコミットしています。工事手法に関し、少しでも環境負荷の少ない工法を取り入れるよう指示し、結果的には地下駅建設までこぎつけました。

当局はリニューアルオープンの時期を2021年に設定しています。

すったもんだのドタバタ劇がうまく収拾し、リニューアルオープンまでこぎつけることができるのか。まだまだ目が離せません。

(出典)
https://www.tagesschau.de/inland/stuttgart21-baubeginn-jubilaeum-101.html

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